福島の人を「ひとりにさせない」カレー屋に

福島の人を「ひとりにさせない」カレー屋に

福島の人を「ひとりにさせない」カレー屋に

福島県 郡山市在住 吉川みゆきさん

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profile

岐阜県下呂市出身。宇都宮市の大学へ進学し、スリランカ留学を経て、新卒で郡山市に事務所を構えるローカルベンチャー企業・株式会社エフライフに入社。『with curry』の事業リーダーとしてカレー店の運営や企画を行う。

福島の人を「ひとりにさせない」カレー屋に
吉川さん

福島の食べ物や人に魅了された

岐阜県下呂市出身の吉川さんが初めて福島を訪れたのは、2019年のこと。飛騨高山の高校を卒業し、宇都宮市の大学で国際学部に通っていた吉川さんは、4年生の夏からスリランカへ留学が決まっていました。留学までの半年間、休学をして何をしようか迷っていたときに、友人に勧められたのが地方インターンでした。そこで、さまざまな企業が集まる東京のイベントに参加。関心の強かった食に関わる会社を探していたところ、福島県の食をメインに事業を行うベンチャー企業「株式会社エフライフ」に出会います。「誰かと一緒にご飯を作って、食卓を囲む空間が好き」と伝えたところ、代表の小笠原隼人さんと意気投合。翌月に1ヶ月間のお試しで福島に訪れることが決まりました。
「福島には一度も行ったことがありませんでした。でも不安よりもワクワクの方が大きかったですね。もともと知らない場所や人に出会いたいという気持ちが強かったんです」
初めて訪れた福島県郡山市。エフライフのイベントで食べた郡山のブランド野菜のあまりのおいしさに衝撃を受けたと言います。
「野菜ってこんなに美味しいんだって感動してしまって。その瞬間、ここでインターンをしようと決めました」。
正式に半年間のインターンが決定した吉川さん。インターン中は食に関わるさまざまな人との出会いがあったのだそう。特に魅了されたのが、農家の方たちの姿でした。
「震災による風評被害に負けないよう、おいしい野菜やお米を作るために惜しみない努力をしていて、プライドや気持ちも強く持っている。そのストイックな姿に心を掴まれてしまったんです」。

カレー

稲福さんが育てた農産物を使ったオリジナル商品

土壇場で決意した福島移住

有意義なインターン生活を終え、福島に別れを告げた吉川さん。留学後は就職活動をして、静岡県熱海市のケーブルテレビ局への内定が決まっていました。しかし就職直前の2月、事態が一転。お世話になった人や仲間に会いにふたたび訪れていた福島で、インターン先のエフライフから「ぜひ働いてほしい」とオファーを受けます。

「あまりに直前でしたし、めちゃくちゃ悩みましたね。内定先もいい方たちばかりで、熱海という新しい場所に行くことも楽しみでした。でも、悩みに悩んだ末に土壇場でエフライフを選びました」。

最終的な決め手となったのは、魅力的な仕事内容と「出会ってきた大好きな人たちと一緒にいたい」という思いでした。決断の時点で時はすでに3月中旬。すぐに郡山市へと移住しました。突然の移住でしたが、周囲に困ったときに頼れる存在がいたことがとても大きかったと言います。
しかしいざ就職をすると、新型コロナウイルス感染症の影響で、もともと担当するはずだったシェアハウスの運営が中止に。本来の役割を失って不安を抱えていた中、縁があって持ち上がったのがカレー店運営の話でした。

「空いたテナントの活用方法を考えていたときに、代表がわたしに『カレー好きだし、カレー屋やってみる?』と声を掛けて下さったんです。それを聞いて、大好きな福島の食材を使ったスパイスカレーで、どんな人にも寄り添うカレー屋を作りたいと思いました」。

吉川さん

さまざまな人にとっての居場所に

こうして誕生した『with curry』で今、吉川さんは事業責任者を務めています。もともと調理師免許もなければ、経営の勉強すらしたことがなかった吉川さんがカレー店を運営できている理由は、福島のチャレンジしやすい環境と周りの人たちのサポートにあると言います。

「東京に比べて良くも悪くもライバルが少ないぶん、やりたいことへの挑戦はしやすいと思います。福島の方たちは、何か新しく挑戦しようとしている人に関心を寄せて、応援しようという熱量がすごく高いんです。そのおかげで続けられていますね」 お店には、一人で孤独を感じる人にとってのサードプレイスになりたいという思いが込められているのだそう。お客さんは、圧倒的に県内在住者が多いと言います。

「わたしにとって福島は魅力だらけ。でも震災の影響もあってか、福島に対して自信のなさを感じている地元の方が多いと感じていて。だから県外の方に喜んでいただけるのはもちろんですが、地元の方たちに『郡山にこんな美味しい野菜があったんだ』と福島の良さを再認識してもらえることがすごく嬉しいです」。

最後に吉川さんに、これから移住を検討している人へのアドバイスを聞いてみました。

「まずは地元に精通している誰か一人と仲良くなれば、自然と輪が広がっていくはず。福島には、県外から福島の良さに惚れこんで移住・起業した方も多いです。思わぬ出会いから、自分の人生が少しずつ変わっていく感覚は本当にわくわくします!」。 吉川さんの感じている福島の魅力は、「食」と「人」。二つを中心に人の輪が繋がっていく場所が、福島にはたくさんあるそう。ぜひ一度、福島へ遊びに来てみてはいかがでしょうか。

スパイスキット

取材を終えて

福島の魅力や『with curry』への思いを、終始きらきらとした笑顔で語ってくださった吉川さん。全く知らない土地に飛び込むことはとても勇気がいるけれど、思い切って一歩踏み出せば、想像もしなかった未来に繋がっていく。まさにそれを体現している人だと感じました。
“居場所”として開かれたその場所に一度訪れてみれば、きっと新しい出会いや発見があるのではないでしょうか。

(掲載:2021年11月)

※こちらの記事は2021年7月に取材したものです。現在with curryは閉店しております。

この記事に関するお問い合わせ先

福島県ふくしまぐらし推進課

住所:〒960-8670 福島県福島市杉妻町2-16
電話番号:024-521-8023
ファックス番号:024-521-7912

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