きっかけは直感!自転車でいわきに新しい風を

今回の記事でご紹介するのは、愛知県出身の寺澤亜彩加(てらざわ あさか)さんです。彼女がいわき市に移住したきっかけや思いを伺いました。

・愛知県→東京都→千葉県→いわき市
・「一般社団法人日本パラサイクリング連盟」事務局/自転車文化発信・交流拠点「ノレル?」コーディネーター

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寺澤亜彩加(てらざわ あさか)さんプロフィール

1995年愛知県生まれ。大学時代、演劇制作のためにいわき市を訪れ、今でも交流を続けるいわき市のキーマンに出会う。卒業後は「土や水、草木に全身で向き合おう」と庭師を志し、千葉県で造園を学んだ後、2019年にいわき市へ移住。現在は自転車文化発信・交流拠点「ノレル?」でコーディネーターをしながら、市内の各エリアを自転車で巡るプロジェクト「いわき時空散走」に取り組んでいる。

寺澤亜彩加さん

直感を信じて移住を決意

Q.いわき市へ移住したきっかけを教えてください


きっかけは2つあります。

1つは、学生時代にいわき市を訪れたときの直感です。当時の私は美大の3年生で、演劇製作のリサーチをするために、先生と一緒にいわき市へ来ていました。リサーチでは防潮堤の上を歩いたり、龍神を祀る神社を巡ったり、いろいろな人に話を聞いたりしました。

いわき市での時間を過ごすうちに覚えたのが、この土地に呼ばれているような、求められているような感覚です。


もう1つのきっかけは、リサーチをしていた中で、いわき市のキーマンとなる方々に出会えたことです。みなさん地域の課題に真正面から向き合っていて、個性が豊かで、興味深い方が多く、外からの人を受け入れてくれる懐の深さも持ち合わせていました。その輪に迎え入れていただいて、居心地の良さを感じられたことも、移住の決め手になったと思います。

リサーチ中に撮影したいわき市の海の風景
リサーチ中に撮影したいわき市の海の風景

自転車を通じて街を知り、楽しむ

Q.現在のお仕事、取り組んでいるプロジェクトについて教えてください。


現在は、一般社団法人日本パラサイクリング連盟が運営する自転車文化発信・交流拠点「ノレル?」に勤務し、事務局の仕事や、自転車ツアーのコーディネート、そして「いわき時空散走」(以下:時空散走)のプロジェクトに取り組んでいます。


時空散走は、自転車で回れる10km程度のエリアごとに、老舗のお店や、学校、橋、神社など歴史や文化を象徴する題材を探し、地元の方にお話を伺ったうえで、1枚のマップにまとめ、ツアーを作るプロジェクトです。そのマップを活用し、自転車で散歩するようにエリアを楽しんでもらうことが狙いです。

イラストと説明をふんだんに盛りこんだ時空散走のマップ。最終目標は市内30エリアのマップ作成
イラストと説明をふんだんに盛りこんだ時空散走のマップ。最終目標は市内30エリアのマップ作成

これまで、春と秋に行うイベント「いわき時空散走フェスティバル」などで自転車ツアーを実施してきました。ツアーでは参加者同士が会話を楽しむことも大切にしています。「サポーター」と呼ばれる案内役の方が、参加者の話を引き出していくのが時空散走の特徴です。

マップに掲載された題材を訪ね、街について語り合う時間はまさに時空散走の醍醐味
マップに掲載された題材を訪ね、街について語り合う時間はまさに時空散走の醍醐味

移住者と地元の人が混ざり合って風土が生まれる

Q.移住者の目線をプロジェクトにどのように活かしていますか?


時空散走には、地元からも県外からも参加者が集まります。みんなで一緒に走っていると、県外の方が先に、おもしろいものや美しい風景に気付いてくれることが多いです。そこで自転車を止めて、地元の方に声をかけると、皆さんとても誇らしい表情で話してくれます。その姿を見ている時間は、本当に幸せです。


車社会のいわき市では、ただ道路を運転して移動するだけになりがちで、地元にゆっくり目を向ける機会が失われていると感じます。だからこそ「自分の地元には何もない」と思い込んでしまう方が少なくありません。でも、移住者の目線でいわき市を眺めると、おもしろいものや素敵なものがたくさん見つかります。私は時空散走の活動を通して、移住者としての立場から、いわき市の魅力を地元の方に伝える役割も担っていると思っています。私は時空散走の活動を通して、移住者としての立場から、いわき市の魅力を地元の方に伝える役割もを担っていると思っています。マップを見ながら街を巡ったり、思い出話に花を咲かせたりしながら、地元の方に地元愛を深めてもらえたらいいなと願っています。


地元に根を張っている人が「土」だとすると、私たち移住者は「風」。風と土が混じり合うことで「風土」が生まれるのだと思っています。

ふくしまぐらしのお気に入りベスト3は?

一度来たらやみつきに

いわき市には、一度来たらやみつきになる不思議な引力があります。離れていると「最近いわき市に行ってない」「妙にいわき市が恋しいぞ」と、何とも言えない気持ちになるのです。私以外にも、同じ感覚で移住した方や、いわき市に通うようになった方が何人もいます。居場所としてのおもしろさがある街だと思います。

多種多様なプレイヤー

いわき市は震災をきっかけに、様々な課題を突きつけられました。そこで課題に立ち向かってきた方々が、地域のプレイヤーとしてそれぞれの領域で活動をしながら、お互いに支え合っています。そのネットワークを通して人の輪が広がるのは、本当におもしろいですね。

百花繚乱の地域文化

いわき市は、複数の市町村が合併してできた広大な市です。現在もその名残で、エリアごとに独特の文化が息づいています。各エリアの環境もバラエティ豊かで、街、山、海、山でも海でもないところ…1つの市とは思えないくらいですね。各地に素晴らしい特徴があり、それぞれに百花繚乱の輝きを放っています。

おすすめの近隣スポットは?

カフェを併設しているゲストハウス「Guest House & Lounge FARO iwaki」です。自然と人が集まる場所になっているので、地元の方と繋がることができます。私も、FAROでたくさんの大切な方々に出会いました。宿泊はもちろん、カフェだけの利用もOKです。


Guest House & Lounge FARO iwaki

福島県いわき市平三町目8-2 やまとビル


福島で暮らしてみたいなという方へ

移住先を探す際、ご自身の感性を信じるのも1つの方法です。頭ではなく体や心で「いいな」と感じるものがあれば、その直感はそれほど間違えていないはず。

地元の方と話したり、一緒にごはんを食べたりして、街に馴染むことも大切です。その土地で何かを始めるなら、まずはいろいろな地元の方の話を聞いて、街の営みを知ったうえでアクションを起こすことをおすすめします。私が時空散走に取り組んでいるように、移住してきた立ち位置だからこそ、地域に貢献できることもあります。

編集後記

時空散走について「20代の多感な私を育んでくれたいわきへの恩返し」と語る亜彩加さん。その言葉と柔らかい笑顔から、彼女がいわきで出会った方々をどれほど大切に思っているのか、強く伝わってきました。

今後も各地の移住者の方に、ふくしまぐらしのお話を伺っていきます。どうぞお楽しみに!


いわき時空散走公式Webサイト:https://jiku-sanso.jp/

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