「ふくしま住まいコンシェルジュ」に聞く、福島の住まい事情
夫の転職にともなって、私は2010年に東京都から福島市へ移住しました。当時いちばん気になっていたのは、「移住予定地の家賃相場はいくらくらいなのか」「東京なら電車があるけれど、車社会で暮らすと実際どのくらいお金がかかるのか」といった住まいに関することでした。福島への移住を考えている方にとっても、今も変わらず気になるポイントではないでしょうか。
そこで今回は、福島県の移住・定住施策の一環として設置されている住まいの総合相談窓口「ふくしま住まいコンシェルジュ」に、福島の住まい事情についてじっくりお話を伺いました。
「ふくしま住まいコンシェルジュ」は、福島県が、不動産売買・賃貸物件などの住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」を運営する株式会社LIFULLに委託をして運営している窓口です。移住希望者一人ひとりの状況に合わせて、住まい探し全般をサポートしています。
ネット検索だけではなかなか見えてこない「福島県全体の家賃感覚」や「市と町村の違い」、そして「福島県での住まいの探し方」のポイントを教えていただきました。
※2025年12月現在の情報です。

東京と福島の家賃相場の違い
まず気になるのは、やはり家賃の話です。
お話を伺った「ふくしま住まいコンシェルジュ事務局(株式会社LIFULL)」の担当・田中さんによると、「県内の市町村間で極端な差はないので、全体のイメージをつかむには福島市と郡山市の相場を見ると分かりやすいです」とのこと。
福島市と郡山市の家賃相場を見てみると、シングル向け(ワンルーム〜1DK)の平均家賃は、福島市が4万8千円、郡山市が4万7千円。ファミリー向け(2LDK〜3DK)では、福島市6万3千円、郡山市7万5千円となっています。
(参考)不動産・住宅情報サイト LIFULL HOME'S|福島県の家賃相場情報
一方で、東京23区の家賃相場はこの数年で一気に上昇しています。
LIFULL HOME'Sのマーケットレポートによると、東京23区のシングル向けは約9万8千円、ファミリー向け(2DK以上)の平均賃料は17万円前後と、かなり高い水準です。
(参考)【東京23区/東京都下/東京都心6区】賃料動向 LIFULL HOME'Sマーケットレポート (2025年10月)
福島と東京を比較すると、ファミリー向けでは賃料が2倍以上違うことも珍しくありません。
敷金・礼金・更新料についても「家賃●か月分」という考え方は同じですが、そもそものベースとなる家賃が違うので、初期費用や更新時の負担感も東京の物件とは大きく変わってきます。
加えて、東京では駐車場が家賃に含まれていないのが一般的で、別途数万円単位の駐車場代が必要に。23区の一等地では、駐車場1台あたり月5万円以上というケースもあるそうです。
その点、福島県内の賃貸アパートの多くは駐車場1台分が賃料込みです。2台目を借りても月数千円程度で済むことが多く、一等地など一部を除けば、駐車場代が極端に高くなることはあまりありません。
家賃に加えて駐車場や初期費用まで含めて考えると、福島では住まいにかかるコストは大きく抑えられます。
県内市町村規模による住まいの特徴
ここからは、福島県内における「市」と「町村」の違いを見ていきます。
一般的に、福島市や郡山市、いわき市などの中核都市では、賃貸物件の種類も数も豊富で、学生向け・社会人向け・ファミリー向けと、ライフステージに合わせた選択肢がそろっています。
ところが、市街地を離れて町村部に入ると状況は変わります。
一部の町村では、そもそも賃貸アパートがほとんどなく、「賃貸で住む」という選択肢自体が取りにくい地域もあります。結果として、そのような町村では、町営・村営住宅を活用したり、空き家を借りたりするケースが増えていきます。
また、県内全域で共通する課題が「ペット可物件の少なさ」です。
そもそもペット可の賃貸物件がごくわずかなことに加え、小型犬や小動物までという条件付きがほとんどというのが現状です。
ペットと一緒に移住したい場合は、「希望に合う物件が出てくるまで粘り強く待つ」、「一戸建てなどの空き家を紹介してもらい、オーナーに賃貸の可否や条件を直接交渉する」、「戸建て購入も視野に入れる」といった心構えが必要になりそうです。
浜通りの一部地域では、「思ったより家賃が高い」と感じる移住希望者も多いそう。背景には、震災後に新築・再建された物件が多く、「築浅な分、家賃水準が高めになりやすい」「そもそも物件数が少なく選択肢が限られている」という事情があります。
同じ浜通りでも、いわき市のように物件数が多いエリアでは、探せば比較的リーズナブルな物件も見つかりますが、新築物件が中心の地域では、「選択肢が少ないうえに家賃も高い」と感じやすいのだそうです。
会津のように雪の降る地域では、幹線道路までの細い道や敷地内など、自分でどこまで雪かきをする必要があるのかを、物件の内見時に不動産会社へ確認しておくことも大切だといいます。
「道路はどこまで行政が除雪してくれるのか」「自分で除雪すべき範囲はどこからか」を事前に把握しておくことで、冬の暮らしの負担を具体的にイメージしやすくなります。
福島県への移住を検討している方は、こうした点も踏まえて住まい探しを進めてみてください。
福島県内の住まいの探し方
では、実際に福島で住まいを探すとき、どう動けばよいのでしょうか。
賃貸や戸建てが充実している都市部の場合は、不動産屋さんを通じて住まいを探すのが一般的です。移住者向けの市営住宅などを用意している自治体もあるので、役場の移住相談窓口に相談してみるのもおすすめです。
一方の町村部では、不動産会社がそもそも少ないため、町村部で物件を探す場合は、次のような動き方が現実的です。
● 役場の移住相談窓口で、移住者がよく相談している不動産会社があれば紹介してもらう
● 役場の移住相談窓口で、町営・村営住宅や空き家バンクの状況を聞く
町村部では、都市部のようにネットだけで情報を集めることが難しい場面も多いため、まずは役場などの移住相談窓口に相談してみるのが、住まい探しの近道と言えそうです。
迷ったら『ふくしま住まいコンシェルジュ』へ!
「福島へ移住することは決まったけれど、何から始めればいいのか分からない!」、そんなときの心強い存在が、「ふくしま住まいコンシェルジュ」です。
「賃貸・購入・空き家活用、何から検討すべきか」「車がないけれど、市内ではどのエリアが自分たちに合うのか」「仕事と住まい、どちらを先に決めるべきか」といった、移住準備の過程で生まれるモヤモヤした疑問を一緒に整理してくれます。メールやチャット、オンラインでの個別相談も受け付けています。必要に応じて、不動産会社や市町村の担当課、住宅関連の補助制度の情報へとつないでくれるのも心強いところです。
不動産会社でも役場でもない中立的な立場だからこそ、利害関係にとらわれない的確なアドバイスができるのが特徴。移住希望者の不安をやわらげてくれる、頼りになる存在です。
田中さんより、移住を考えている方へメッセージを頂きました。
「こんなこと聞いてもいいのかな」と構えず、まずは気軽に相談してほしいです。
途中で「やっぱりやめます」となっても構いませんし、「補助金のことだけ知りたい」「住まいの探し方の方向性だけ整理したい」といった相談も歓迎です。
賃貸・購入・空き家活用を含め、「住まい全般の相談窓口」として利用していただければと思っています。
おわりに
住まいの不安が解消されると、「福島でどんな暮らし方ができるか」というイメージも、きっと具体的になってくるはずです。
福島での暮らしが少しでも気になっているなら、まずは一度、オンラインで話を聞いてもらうことから始めてみませんか。




